写真のように淡々と流れていく映像が、異国の地での切なさを絶妙に引き立てている。ただ、変な日本人が出てきたり、元映画スターのはずのボブは、アメリカでサクッと出来るCMの仕事を家族から離れたい口実にわざわざ日本に来ているのに、暇だったりと、ちょっとした感覚のズレや役者の設定の荒さに違和感を感じる。その違和感から一歩引いて見てしまう。
正直な所、舞台が東京じゃなくてもいいかもしれない。どちらかといえば、言葉が通じない、孤独感、疎外感を安易にやるより舞台が英語圏の国の方が焦点が絞れる映画になりそうな気がする。(←それじゃ、映画になるものもならないような気もするけど。東京という設定が上手い具合に焦点をぼかしているのは確か)。ラストは柔らかくじわっと染み込むように終わっていく感じがこの映画を象徴していた。
知らない土地(場所)に行って自分の居場所が無い感じは、誰もが一度くらいはあるはずだ。この映画に共感できる出来できないとあるだろうけど、最初に感じる違和感が最後まではなれず、どっちつかづの印象になった。
■ロスト・イン・トランスレーション■